あいぎ特許事務所に寄せられたよくあるご質問

0001 知的財産権全般

3001 商標を使用できるか

3003 出願が必要か

3005 実際に商標を使用していない場合に出願や登録ができるか

3007 商標として認められるか

3009 登録される商標か

3011 商品又は役務の指定の仕方

3013 出願後~登録前の保護

3015 成立した商標権について

3019 他人の権利

3021 雑学編

今度、取引先に新しい製品を売り込もうと思っていますが、何か注意することはありますか?
 製品を売り込む前に、その製品について特許出願や、意匠登録出願、商標登録出願しておくことをお勧めします。
 なぜなら、製品の売り込みの際に、その製品の技術や、デザイン、商品名(ネーミング)を相手に奪われ、相手に先に出願されてしまう可能性があるからです。
 本来、相手が勝手に出願することは許されないことですし、法律上は相手の権利を無効にすることも出来るのですが、その立証は非常に困難で す。
 相手に先に出願されて権利化されると、自社製品の製造販売が自由にできなくなったり、自社製品について使用予定だった商品名が 自由に使用できなくなったりするおそれがあります。
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出願をしてからどのくらいで権利を取得できますか?
 特許の場合、出願と同時に出願審査請求をした場合、通常、出願から権利化まで1年以上かかります。
 意匠、商標の場合、通常、出願から権利化まで半年前後かかります。
 
 また、より早期の権利化を図るための制度として、早期審査制度があります。 
 この制度を利用すれば、特許、意匠又は商標について、出願から権利化までの期間が2、3ケ月程度となり、権利化までの期間を大幅に短縮することができます。
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新しい商標を考えたのですぐ使いたいのですが、大丈夫ですか。

必ずしも大丈夫とはいえません。
たとえ自分で独自に考えた商標であっても、先に他人が同一又は類似の商標を出願して登録を受けていたら、自由に使用することはできません。その他人の商標権を侵害することになってしまいます。

これを避けるために、自分が考えた商標と同一又は類似の商標が出願又は登録されていないかを調査する必要があります。調査は特許事務所や調査会社に依頼してもよいですが、自分で行うこともできます。その場合は、特許庁HPから入ることができる「特許電子図書館(IPDL)」の商標検索を無料で利用できます。
商標を検索するときは、検索対象とする商標の指定商品又は指定役務(サービス)が、自分が使いたいと考えている商品又はサービスと同一又は類似のものであるかどうか確認してください。商標権は、登録商標を指定商品又は指定役務について使用する権利であり、それに類似しない商品又はサービスには権利が及ばないからです。したがって、自分が考えた商標を、指定商品又は指定役務に類似しない商品又はサービスに使用する限り、他人の商標権を侵害することにはなりません。
 
但し、自分で調査を行っても、適切な範囲を網羅できず漏れがあったり、判断を誤る場合も多いので、注意が必要です。最終的には、特許事務所や調査会社に依頼することをお勧めします。

指定商品又は指定役務とは、登録商標を使用する商品又は役務であり、出願時に出願人が指定します。指定商品又は指定役務と、自分が使いたいと考えている商品又はサービスが類似か否かは、「類似群コード」を参照して判断することができます。

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調査をした結果、自社の商品名と殆ど同じ商標が同じ商品について登録されていることがわかりました。以前からこの商品名を使用していますが、権利者から何も言われたことがありません。これからも使用を続けたいのですが、大丈夫ですか。
貴社が事業を今より大きくしたいとお考えなら、大丈夫ではない、とお答えします。
というのは、登録商標の無断使用が権利者に見つかるのは、大抵の場合、企業が成長していくとき(言い換えれば、権利者からライバル視され始めるとき)だからです。

もし権利者に見つかって訴えられたら、負けてしまうことが確実に予想されます。その場合には、今まで使用していた商品名の使用が差止められたり、その使用による損害賠償に応じなければなりません。つまり、商品のパッケージや看板等を変更・撤去したり、多額のお金を支払うことになりかねません。場合によっては、侵害罪として懲役又は罰金に処せられることもあります。すると、それまでに商品名に蓄積してきた信用や、せっかく築き上げた取引先との信頼関係を喪失する等の様々な不利益が生じます。

権利者に見つかったときに、権利を譲ってもらったり、ライセンスを許諾してもらったりする方法もありますが、あくまでも権利者が承諾してくれることが条件です。権利者もその登録商標に蓄積された信用を基にして商売をしているわけですから、拒否されることも多いと思われます。

このように、様々な不利益や費用等の損失を最小限に留める上でも、できるだけ早く商品名を変更するのがベストの方策だと思われます。元の商品名のニュアンスを残しながらも、その登録商標と類似しない商品名に変更するのがよいでしょう。
このとき、変更後の商品名が、別の登録商標と同一又は類似のものにならないように、さらに調査を行う必要があります。調査の結果、大丈夫であれば、変更後の商品名についてできるだけ早く出願することをお勧めします。万が一、変更後の商品名について他人が先に出願して登録を受けた場合には、その商品名をまた使用できなくなってしまうからです。
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会社の名前のドメインを取っておけば商標を出願しなくても大丈夫ですか。
必ずしも大丈夫とは言えないと思います。

ドメインを商品やサービスの名前として使えば、確かに商品・サービスの知名度を上げる効果を期待できます。
しかし、ドメインを登録したことが、商標に関する権利を取得したことには直結しません。貴社が商標出願をしておらず、商品名やサービス名が未だ周知となっていない場合は、他人が同じような商標を出願して登録を受けることは可能です。もし他人に商標権を取得されてしまったら、貴社は商品やサービスを表す名前として商標的な使用をすることができなくなってしまいます。
したがって、できるだけ早く商標を出願して登録を受けることをお勧めします。
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会社の名前は商号で登記したので商標出願しなくても大丈夫ですか。

会社法では、会社を設立する同一市区町村内であっても、同一住所・同一商号でない限り、原則的に登記が可能です。そして商号は、図形や色彩等を選ぶことはできません。
これに対して商標は、登録すれば全国的な効力が得られます。また、文字だけでなく、図形、色彩等を組み合わせて登録できます。

登記した市区町村を超えて営業展開することはよくあると思います。例えば、インターネットを通じて日本全国の顧客に商品を販売したりサービスを提供する場合等。こういった場合、登記だけでは不安です。

というのは、会社名が徐々に知られるようになると、その会社名と同じような商標権を先に取得していた他人から突然、“商標権侵害だ”として警告書が送られてくるといったケースがあり得るからです。

一方、会社名が徐々に知られるようになると、その会社名を真似て勝手に商売を始める他人が出てくるかもしれません。その場合、貴方の会社名に商標権を取得しておけば、そういった相手に対する牽制となるでしょう。
また、新会社法で類似商号規制が撤廃されたので、近辺の地域に似た商号の会社が出現する可能性があります。これらの会社と差別化を図るためにも、商標権を確保しておけば安心です。

さらに、貴方の会社名を真似て勝手に商標権を取得されてしまうというケースがあるかもしれません。その場合、たとえ相手の商標出願よりも前から貴方の会社名を使っていたとしても、その出願時点で貴方の会社名が周知性を獲得していたということを立証できないと、逆に商標権侵害になる可能性があります。

したがって、商号に関する会社名を商標登録しておくことはとても重要です。これは、屋号・店名等にも当てはまります。

そして、もっと大切なのは、商号・屋号・店名等を決定する前に、既に登録されている商標と同一・類似でないか調査しておくことです。
これを怠ると、将来、商標に関する問題が発生する可能性を否定できません。

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新会社法で類似商号規制が廃止されましたが、商標とどんな関係があるのですか?

平成18年5月施行の新会社法では、類似商号規制が廃止されました。今までは、会社を設立する同一市区町村内に同一業種で同一・類似の商号があると登記ができませんでしたが、施行後は全く同一の住所で同一の商号でなければ、好きな商号を付けることができます。

これまでは商号だけで勝負できたとしても、今後は近辺の地域でも同一・類似の商号が出現する可能性がありますので、気が抜けません。
会社の商号が広く知れ渡っていれば不正競争防止法によって保護される場合もありますが、保護を求めるためには裁判を起こして自己の商号の周知性・著名性を的確に立証しなければなりません。また、そのためには客観的資料(写真、広告媒体物、週刊誌や新聞記事)を保管・管理する等の備えが必要となり、負担は小さくありません。また、そもそも商号が広く知れ渡る程に到っていないときは、保護されないことになってしまいます。
また、会社法では不正の目的をもって他人の商号と誤認させる商号を使用することを禁止しており、自分の商号が広く知られていなくてもそのような使用をした相手の商号を使用停止させることができますが、これも裁判を起こして「不正の目的」等を立証しなければなりません。

そこで、商号の保護を確実にしたいのであれば商標登録をすることをお勧めします。この場合、商号そのものより、「株式会社」「有限会社」等を省略した会社名を登録した方が、何かと都合が良いことが多いです。
そして、会社名の商標権を取得すれば、自己の商標(会社名)の周知性等を立証する必要もなく“相手の使用している商標(会社名)が自己の商標(会社名)に似ている”ということだけで、相手に商品の販売やサービスの提供を止めさせること等ができます。

一方、新しく会社を設立する側も好きな商号が登記できるようになったと喜んでいると、足元をすくわれる場合があります。商号や会社名を使って商売を開始して徐々に売上げも伸びてきた矢先に、似たような商号・会社名を持つ相手の企業から突然内容証明郵便で警告書が送られてくるということが・・・。既にその相手企業が商号・会社名についての商標権を取得していると、このような事態が起きることが考えられます。
つまり、好きな商号を登記できるようになったからといって、商標の権利侵害を免除されるわけではないのです。したがって、事前の商標調査が重要なことは今までと変わりありません。

以上のように、昔からの商号を継続して使用する側にとっても、新しく起業する側にとっても、商標に気を遣うことがますます重要となった、ということがいえます。

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自分で調査をした結果、同じような商標が出願や登録されていないようなので、商標を使用しています。使用していれば出願しなくても大丈夫ですか。出願にはどんなメリットがあるのですか。

出願のメリットとして、出願した商標が登録されると商標権を取得できることが挙げられます。

この商標権は、登録された商標を指定商品又は指定役務*1について自分だけが独占的に使用できる権利です。商標権は特許庁によって法的に与られる権利ですので、正当に登録商標を使用できることになります。
また、登録商標やそれに類似する商標を他人が勝手に使用することもできません。もし他人が勝手に使用すれば、その他人に対して使用の差し止めや損害賠償の請求等ができます*2。また、商標権を持っていれば、他社にライセンスし易くなります。

ところで、他人よりも先に商標の使用を開始していても、他人がその商標を先に出願して登録を受けた場合は、その商標が自社の商標として周知になっていない限り、自社の商標を使用できなくなります。すると、商品のパッケージや看板等を変更・撤去したりしなければならず、無駄な労力・費用が発生します。このような事態を避けるためにも、使用している商標を出願して登録を受けることをお勧めします。

なお、商標権の存続期間は登録日から10年ですが、登録商標を使用する限り、何度でも更新でき、永久的に権利を存続させることができるメリットもあります。

*1指定商品又は指定役務とは、登録商標を使用する商品又は役務であり、出願時に出願人が指定します。指定可能な商品又は役務は様々に分類されています。

*2
但し、例えば「あいぎ」という商標が「日本酒」という指定商品で登録された場合に、他人が「あいぎ」という名称のパソコンを販売していても商標権を主張することはできません。

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将来、業務を拡大する可能性があります。他社に先を越されないように、今のうちにたくさん商標出願をしておこうと考えていますが、できるでしょうか。
原則として商標は、現に使用しているか、あるいは使用予定のある商品又は役務について登録を受けることができます。したがって、業務を拡大する範囲内であれば、その商品又は役務については出願ができます。

しかしながら、業務範囲外の商品又は役務についてまでむやみに出願することは避けるべきでしょう。あまりに広範な商品や役務を指定して出願すると、使用していること又は使用する予定があることに関する証明が必要で、使用の意思が確認されます。
また、使用する予定もない商品又は役務について登録を受けてしまうと、本当に使いたいと考えている他社が登録を受けられず、他社の権利を不当に害することになります。それに、登録数が増えればそれだけ登録料も余分にかかります。また、商標が登録されても使用しなければ、不使用を理由に取り消されてしまう可能性が高いといえます。
無駄な労力・費用を避けるためにも、適切な範囲内の商品又は役務について出願することをお勧めします。
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自分では事業を行う気はありませんが、今後急成長が見込まれる業界の商品について、いかにも付けそうな商標の登録を受けておいて、他社に権利を売ったりライセンスしたりすることはできますか。
いいえ、そのようなことはやめるべきでしょう。

そもそも、商標を使用する気がないのですから、使用していること又は使用する予定があることに関する証明を求められても提出することができず、使用の意思を確認することができません。したがって、登録を受けることは難しいと思われます。

また、仮に登録が受けられたとしても不使用を理由として登録が取り消される可能性があります。権利を売りつけられる側や、ライセンスを強要される側は、取り消しを当然に望んでいるはずなので、その可能性は高いでしょう。

さらに、商標権を得たり維持するために必要な費用もバカになりません。1つの商標権を得るためには、最低でも「出願料:6,000円+(区分数×15,000円)」と「登録料(5年分の分割納付):44,000円×区分数」が必要となります。
もし権利を売ったりライセンスしようと考えているなら、複数の商標権を取得することになるのでしょうが、そうなるとさらに費用がかかります。例えば商標権を10個取得した場合は、5年間権利を存続させようと思うと、最低でも650,000円かかります。区分数が増えれば、さらに高額となります。他社から得る金額がこれらの費用に見合わなかったり、取り消しで権利が消滅すれば、逆に損をすることになります。

何よりも、そのようなことは倫理的にも問題がありますので、やめるべきでしょう。
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シリーズ化した商品の色彩を、コーポレートカラーに統一しようと思います。この色彩について商標登録を受けることはできますか。

いいえ、残念ながら、色彩のみの商標(いわゆる色商標)は、日本では登録できません。

但し、色彩を「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合」と結合した商標は登録できます。
 
なお、日本では、テーマソング等の音商標や、匂いの商標も登録できません。また、動画等の動きのあるものも登録できません。

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商品の販売に向けて、キャラクターを考えました。このキャラクターについて商標登録を受けることはできますか。

はい、できます。
キャラクターについて商標登録を受けると、他人がそのキャラクターを勝手に使用していれば、その他人に対して差し止め請求や損害賠償請求等をすることができます。また、キャラクターは著作権でも保護され、著作権によって差し止め請求や損害賠償請求等をすることもできます*1
なお、著作権はキャラクターの創作によって発生し、著作権を得るために審査や登録は必要ありません*2

しかし、他人が同じようなキャラクターを(模倣や盗用や複写ではなく)全く独自に創作していれば、その他人のキャラクターにも著作権が発生します。したがって、真の創作者は誰かということが争いになると、創作の時期や、全く独自に創作したこと等を証明する必要があります。

一方、商標登録を受けるためには登録要件を満たして審査をパスする必要がありますが、出願した時期が明確です。したがって、他人より先に出願して登録を受ければ、自社だけが登録商標を使用する権利を独占でき、しかも商標権の行使やライセンスがし易いという利点があります。

また、著作権は、創作者の死後50年が経過すれば保護されなくなりますが、商標権は更新することで永久的に権利が存続します。

ちなみに、キャラクターを模様として物品の上に表現した場合等は、意匠登録の要件を満たすものであれば、意匠登録を受けて意匠権に基づく保護を受けることもできます。

*1商標権は、キャラクター(登録商標)を指定商品又は指定役務について独占的に使用できる権利ですが、他人がキャラクターを指定商品又は指定役務以外について勝手に使用していれば著作権の行使等ができます。

*2
但し、文化庁に登録することはできます。登録すれば、自分が真の創作者であることや創作時期の事実が推定されます。

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現在、売り出し中の格闘家です。取り敢えず自分の名前について商標出願をしておきたいのですが、登録されますか。

まず、何についてその商標(名前)を使用するのかを明確にして、その商標を使用する商品又はサービス(役務)を決める必要があります。
商標とは、自分の商品又は役務を他人の商品又は役務から区別するために使用するものであり、出願に際しては商標を使用する商品又は役務を指定する必要があるからです。名前だけを(商品又は役務と別個にして)出願することはできません。
したがって、例えば名前をタオルに付して販売する予定があれば、指定商品を「タオル」等にして出願する必要があります。あるいは、格闘技を教える教室を開いているなら、指定役務を「格闘技の教授」等にして出願する必要があります。

また、商品又は役務を指定して出願しても、必ず登録されるとは限りません。自分の名前であっても、商標として登録されるためには、登録要件を満たしていなければなりません。特に、ありふれた氏(例えば「安藤」「TANAKA」)であったり、他人の氏名と同じであったりする場合は、原則として登録を受けることができません。また、その他の登録要件を満たさない場合にも登録を受けることができません。したがって、調査を行い、登録要件を満たすかどうかを検討した上で、出願する必要があるでしょう。

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浄水器の商標として、この地方でよく知られた滝の名前を付けたいと考えています。地名等は一般的な名称だと思うのですが、登録されますか

はい、登録される可能性はあります。

地名の登録が認められないのは、商品の産地や販売地、サービス(役務)の提供場所等の場合です。例えば、商品「そばめん」に「信濃」、役務「中華料理の提供」に「横浜」等の場合は認められません。また、国家名や「東京」「ロンドン」等、特に著名な地名も登録できないとされています。

ご相談の場合、滝の名前は浄水器の産地や販売地と判断されにくいと思いますので、この要件に関しては問題ないでしょう。但し、他の登録要件を満たしているか否かの調査を行った上で、出願する必要があります。

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アパレル関連の会社を経営しています。海外出張のとき、現地でかなりポピュラーになっている女性ファッション誌を知りました。日本ではまだよく知られていないので、その誌名を新作アイテムの商標にして出願したいと思うのですが、可能でしょうか。

いいえ、可能ではありません。

もともとファッションに関心が高い消費者は、海外でポピュラーなファッション誌の情報にも敏感であると考えられます。このため、貴社の商品の消費者とそのファッション誌の消費者は、ある程度重なることが想定されます。ですから、そのファッション誌の出版社が日本に参入した場合には、その出版社が貴社と何らかの関係があるとの誤認が生じ、日本への参入が阻止されることになりかねません。このような商標は「不正の目的で使用する商標」とされ、商標登録を受けることはできません。

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オリジナル雑貨を販売する雑貨ショップを経営しています。ショップ名を商標登録したいのですが、小売業を役務として指定できますか。

はい、小売業者等が使用する商標も役務として指定できます。
H18年度改正商標法では、小売業等が使用する商標も指定可能な役務とされました。したがって、ショップで取り扱っている商品の小売等役務の商標として出願することができます。

ところで、小売等役務の商標出願とするか、商品の商標出願とするかの判断の決め手は、その商標をどのように使うのか(使う予定なのか)、ということです。

●商品との具体的な関連性があるような使用形態は、商品商標の使用と考えられます。
 
 例えば、商品そのものに商標を刻印したり(石けん等)、商品の包装容器に直接印刷したり(ジュースの缶等)、その商品の値札やタグに表示する(衣服等)、広告チラシ・価格表に商品の写真を掲載して、その写真の近くに商標を表示する等。
 
 特に、お店のオリジナル商品を販売している場合は、その商品について商品商標を取得する必要があります。サービスというより商品自体の品質等で勝負する場合は、商品商標の権利取得が重要であることに変わりはないと考えられます。

 ●商品との具体的な関連性が見出せないような使用形態は、小売等役務の商標の使用と考えられます。
 
 例えば、店舗内の案内板・店舗の看板、陳列棚、会計用レジスター、店員の制服・名札等に商標を表示する、ショッピングカート・買物かご、レジ袋・包装紙や、値札に表示する(それらが特定の商品専用でなく汎用されているものである場合)、広告チラシでは、チラシの枠外や隅に小売業者等の商標を表示する等。

なお、小売業等役務の商標出願については、小売業等役務の出願同士で類否関係が判断される他、商品商標の出願との間でも類否関係が判断されることとなっています。極く簡単に言えば、例えば、“眼鏡の小売”という小売サービスを指定した商標「Y」と、“眼鏡”という商品を指定した商標「Y’」は類似と判断され得ます。

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洋菓子店を経営しています。店で販売しているプリンが好評なので、インターネットで販売することを計画しています。このプリンの名前を商標出願する場合、例えば「インターネットを利用した商品の販売に関する情報の提供」といった役務を指定する必要がありますか。

いいえ、指定商品又は指定役務は、その商標を使用する商品又は役務にする必要があります。
ご相談の場合は、実際に商標を使用するのはプリンであって、販売方法が店舗であってもインターネットであってもそのことに変わりはありません。したがって、指定商品を「菓子」等としておく必要があるでしょう。

ちなみに、「インターネットを利用した商品の販売に関する情報の提供」を指定役務にできるのは、例えばインターネットで商品販売を行うために必要な情報の提供等を業務として行っている場合です。

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商標を出願した後に、競業他社がとてもよく似た商標を指定商品と同じ商品に使用していることに気付きました。まだ商標が登録されていないのですが、どうしたらよいですか。
商標を出願すると、その商標が登録される前でも、その商標を勝手に使用する者に対して金銭の支払いを請求できる権利(金銭的請求権)を得ることができます。

この金銭的請求権を得るためには、以下の①~③の要件を満たす必要があります。
①その相手に出願の内容を記載した書面を提示して警告していること
②警告後も相手がその商標を使用していること
③その相手の使用によって出願人に業務上の損失が生じていること

上記①の要件は、たとえ相手方が悪意で(つまり、出願人の商標とよく似ていると知っていて)商標を使用していたとしても必要です。また上記③の要件を満たすためには、出願人自らが出願した商標を使用していて、かつ、相手方の商標使用によって出願人の売り上げが減少した等の実際の業務上の損失が生じていることが必要です。

したがって、出願した商標を貴社で使用していれば、まずは相手方に出願の内容を記載した書面を提出して警告する必要があるでしょう。その後も相手方が使用を続け、それによって業務上の損失が生じれば、金銭的請求権を得ることができます。

なお、この金銭的請求権は、商標登録を受けた後でないと行使できません。この権利を行使する場合には、貴社が裁判等で業務上の損失の立証する必要があります。また、商標登録日から3年間(登録後に相手方の無断実施等を知ったときは、知った時から3年間)行使しないと消滅してしまいます。そして、この金銭的請求権は、出願が放棄、取下げ又は却下されたときや、拒絶が確定したとき等は、初めからなかったものとみなされます。これらのことに注意してください。

ところで、商品がヒットする等してその商標が貴社の商標として周知となっており、相手方の商標の使用によって貴社の商品と誤認されるおそれ(混同のおそれ)があれば、不正競争防止法によっても保護されます。不正競争防止法でも、差し止め請求や損害賠償請求等をすることができますので、適用の可能性を検討することが考えられます。この場合は、裁判等で周知性や混同のおそれを立証する必要があります。
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商標権の存続期間、権利期間とはどういうことですか?何か違いがあるのでしょうか?  

存続期間とは、権利が存続する期間のことをいい、商標権の場合は登録日から10年(登録料を分割納付した場合は登録日から5年)で終了すると定められています。ただし、商標は使用していくうちに業務上の信用が蓄積し、それを継続して保護することが法目的に沿うので、更新登録の申請を行えば存続期間をさらに10年更新することができます。この更新登録には回数制限がないので、更新登録を繰り返せば商標権は永久的に存続することになります。

一方、権利期間とは、権利が有効に保護される期間のことをいい、商標権の場合は登録が権利発生の要件なので、登録されてから始まります。特許権や実用新案権では存続期間が出願日から始まる一方、権利期間は登録されてから始まるので、存続期間よりも権利期間が短くなりますが、商標権の場合は存続期間がそのまま権利期間となります。

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登録商標を持っていますが、指定商品の中には現在使用していないものも含まれています。今後も使用する予定はありませんが、そのような場合は不使用として登録が取り消されることがあると聞きました。何かいい方策はありますか。
一部でも商標を使用している指定商品があれば、商標登録全体が取り消されることはありません。しかしながら、商標を使用しない指定商品に関しては、その指定商品についての登録が取り消される可能性があります。

もし商標を使用している指定商品についてだけ登録が残ればいいとお考えならば、現状のままで構わないでしょう。他人に登録を取り消されるのを避けたいなら、その指定商品についてのみ、自ら商標権を放棄することもできます。しかし、商標権の取得や維持に労力や費用をかけてきたので、それではもったいないと思われるなら、以下の方策が考えられます。

まず、使用しない指定商品についての部分の商標権を他人に譲渡することが考えられます。商標権は、一部の指定商品又は指定役務についての部分のみを分割して移転することができるものです。
ところで、譲渡した結果、自分に残った商標権の指定商品と、譲渡した商標権の指定商品が互いに類似することがあるかもしれません。この場合に、譲渡先の商標の使用によって自分の業務上の利益が害される(売り上げの減少、業務上の信用の毀損等)おそれがあれば、譲渡先に混合防止表示を付すことを請求できます。
また、譲渡先が自分に対して不正競争の目的をもって商標を使用し、その使用によって自社の商品と混同されてしまうと認められれば、譲渡先の商標登録を取り消すこともできます。

また、商標権にはライセンスを設定することもできますので、ライセンスの許諾を考えてもよいでしょう。ライセンス先が使用してくれれば、不使用で取り消されることはありません。
但しこの場合は、ライセンス先が商標を不正に使用しないように監督する義務が生じます。もしライセンス先が、商品の品質を誤認させるような使用をしていたり、別の企業の商品と誤認されるような使用をしていると認められると、自分が持っている商標登録全体が取り消されてしまうので、注意が必要です。
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自社の登録商標の指定役務は「娯楽施設の提供」です。最近、自社の登録商標と同じ名称のアイスクリームが街で売られていることに気付きました。このアイスクリーム製造・販売会社に対して、何かできますか。
この場合は、指定役務が「娯楽施設の提供」であるのに対し、売られているのがアイスクリームという商品ですので、商標権に基づく権利行使はできません。商標権は、指定商品又は指定役務について他人が勝手に登録商標を使用しているときに文句を言える権利だからです。

但し、貴社の登録商標が「娯楽施設の提供」の商標として周知となっており、そのアイスクリームの販売によってアイスクリーム製造・販売会社が貴社と関連があると誤認されるおそれ(混同のおそれ)があれば、不正競争防止法で保護されます。この場合は、貴社が裁判等で周知性や混同のおそれの立証を行う必要があります。
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自分が使いたい商標が他社に登録されています。どうも使用されていないようですが、定かではありません。どうしたらよいでしょうか。
その商標が使用されているか否かを自分で調べる手っ取り早い方法は、インターネットで調べることでしょう。
例えば、商標権者が開設しているサイトや、ワード検索等によって、商標が実際に使用されているか否かわかることが多いと思います。それでもよくわからなければ、専門の調査会社に依頼することを考えるとよいでしょう。

調査の結果、使用されていることがわかったら、商標権者に権利の譲渡やライセンスの許諾を求めることができます。しかしながら、商標権者はその登録商標に蓄積された信用を基にして商売をしているわけですから、拒否されることも多いと思われます。
この場合はきっぱりと諦めて、その登録商標とは類似しない他の商標を考えた方がよいでしょう。このとき、考え直した商標が、別の登録商標と同一又は類似のものにならないように、さらに登録商標についての調査を行う必要があります。
それで大丈夫であれば、新しい商標についてできるだけ早く出願することをお勧めします。万が一、その商標について他人が先に出願して登録を受けた場合には、その商標も使用できなくなってしまうからです。

一方、使いたい登録商標が他社に使用されていない場合は、権利譲渡やライセンス許諾を求めやすくなると思われます。不使用を理由に商標登録を取り消すこともできますが、商標権者としては取り消されてしまうよりも、譲渡やライセンスによって収入を得た方がよいと考えるのではないでしょうか。
それでも拒否されてしまったら、不使用取り消し審判を請求し、他社の登録を取り消した上で、自ら出願することが考えられます。その場合は、他社の不使用の状態が3年以上継続していることが条件です。
なお、登録商標の指定商品又は指定役務のうち、一部の指定商品又は指定役務だけが他社に使用されておらず、それが正に自分が使いたいものであれば、その指定商品又は指定役務についてのみ、権利譲渡やライセンス許諾を求めることもできます。また、拒否されたときは、その指定商品又は指定役務についてのみ、取り消すことも可能です。
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マルR、(R)、TM、SMといった文字をよく見かけますが、これは何を表しているのですか。
マルR、(R)、TM、SMは登録商標又は商標を表しています。

Rは「Register」の頭文字をとったものです。米国では、特許商標庁で登録された商標という意味があります。

また、TMは「Trade Mark」の略、SMは「Service Mark」の略です。米国では、自分で商品商標、あるいはサービス商標と思えば、TMとかSMを付して一般の人に知らせることができるとされています。

日本ではこれらの表示に法的な根拠はありませんが、慣用的に使用されています。これらの表示のある商標は登録商標の可能性がありますので、同一又は類似の商品やサービスでの使用には注意が必要です。一方、法的な根拠がないといっても、登録を受けてない商標についてむやみに表示しては虚偽表示になりますので避けるべきです。

なお、商標法上では「登録商標第○○号」と表示することが規定されています。

ちなみに、(C)は著作権を表しています。「Copyright」の頭文字をとったものです。
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カタログやHP等で「○○は△△の商標、または登録商標です」というような表示を見かけますが、わざわざ知らせる意味があるのですか。
もちろん、このような表示には、カタログやHP等の中で使われている商標とその所有者を明確にし、他人に同一又は類似の商標を使用されたり出願されたりすることを牽制する意味があります。しかし、他にも重要な意味があります。

商標の所有者は、自分の商品又はサービスを他人の商品又はサービスから区別させるために商標を使用し、これにより業務上の信用を蓄積することができます。ところが、商標が普通名称のように使われてしまうと、そのような区別する機能が弱くなり、商標としての価値がなくなります。ですから、上記のような表示をして、その商標が普通名称でないことを宣言し、普通名称化を防止しようとする意味があるのです。

ところで、商標が普通名称化する原因は色々あります。例えば、同種の商品の中で特別に優れていたため著名になり、その種の商品の代名詞のようになって普通名称化した場合や、適正に商標管理が行われず一般に広く使用されたため普通名称化した場合等があります。普通名称化した例としては、「ナイロン」、「セロテープ」等があります。

上記のような表示以外にも、普通名称化を防止する方策として、マルR、(R)、TM、SMといった文字を併記することがあります。これらの文字は日本では法的根拠がありませんが、商標又は登録商標であることを示すために慣用的に使用されています。

ヒット商品・サービスに使われる商標は普通名称化しやすいといえるので、企業はその他にも様々な方策を取って、商標の普通名称化を防止するために努力をしています。
 
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