特許法改正情報
平成15年改正
1.平成16年1月1日施行
改正事項 | 主な改正条文 | 経過措置 |
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審判制度
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発明の単一性要件 | 37条 | - |
2.平成16年4月1日施行
改正事項 | 改正条文 | 経過措置 |
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料金制度
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3.改正事項の具体的内容
審判制度
- (1)異議申立てと無効審判との統合
- 異議申立て制度が廃止されて、特許権成立後に特許の有効性を争うための制度が無効審判制度に統合される。このため、新無効審判の請求は原則として誰でも、いつでも行えるようになる。
- (2)攻撃・防御の機会の適正な確保
- 従来の無効審判では攻撃・防御が法律上1回に限定されていたが、改正により当事者間で攻撃・防御を繰り返すことができるようになる。
・請求理由の記載要件が明確に規定される(131条2項)。
・審判請求人は、無効審判請求を受けてなされた答弁・訂正に対して一定条件の下、請求理由を補正して再度特許権者を攻撃することができる(131条の2)。
・特許権者は、請求理由が補正されたことを受け、再度の防御として再度答弁・訂正をすることができる(134条の2)。
- 従来の無効審判では攻撃・防御が法律上1回に限定されていたが、改正により当事者間で攻撃・防御を繰り返すことができるようになる。
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(3)審決取消訴訟継続中の訂正の機会の適正化
- ①訂正審判の時期的制限
原則として、無効審判が特許庁に係属すると、その審決が確定するまで訂正審判の請求ができない。ただし、例外として審決に対する訴えを提起した場合は、その訴え提起から90日以内に限って訂正審判の請求が認められる(126条2項)。
- ②裁判所の職権による事件の差戻し
無効審決を受けた特許権者が訂正審判を請求し、又は請求の意思があり、裁判所が相当と認める場合には実体判断をしないで事件を特許庁に差戻し(審決は取消決定となる)、差戻し後の無効審判中で審理させることが可能となる(181条2項)。
なお、この差戻し後の無効審判の審決に対して訴えを提起しても、上記例外規定の適用はなく、原則通り、訂正審判の請求はできない(126条2項但書括弧内の規定)。
- ③差戻し後の無効審判中での訂正機会の確保等
差戻し後の無効審判でも訂正審判が確定前であれば、訂正請求が可能(134条の3第2項)。ただし、その再度の無効審判の審理と先に請求された訂正審判の審理とが分断されないよう、両審理を一元化する規定(3~5項)が設けられた(134条の3)。
- ①訂正審判の時期的制限
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(3)審決取消訴訟継続中の訂正の機会の適正化
- ①訂正審判の時期的制限
原則として、無効審判が特許庁に係属すると、その審決が確定するまで訂正審判の請求ができない。ただし、例外として審決に対する訴えを提起した場合は、その訴え提起から90日以内に限って訂正審判の請求が認められる(126条2項)。
- ②裁判所の職権による事件の差戻し
無効審決を受けた特許権者が訂正審判を請求し、又は請求の意思があり、裁判所が相当と認める場合には実体判断をしないで事件を特許庁に差戻し(審決は取消決定となる)、差戻し後の無効審判中で審理させることが可能となる(181条2項)。
なお、この差戻し後の無効審判の審決に対して訴えを提起しても、上記例外規定の適用はなく、原則通り、訂正審判の請求はできない(126条2項但書括弧内の規定)。
- ③差戻し後の無効審判中での訂正機会の確保等
差戻し後の無効審判でも訂正審判が確定前であれば、訂正請求が可能(134条の3第2項)。ただし、その再度の無効審判の審理と先に請求された訂正審判の審理とが分断されないよう、両審理を一元化する規定(3~5項)が設けられた(134条の3)。
- ①訂正審判の時期的制限
発明の単一性要件
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特許異議申立て・無効審判がなされた請求項の訂正請求については独立特許要件の判断をせず、訂正後の取消理由・無効理由の審理においてのみ独立特許要件が判断されることになる。
(注)特許異議申立制度は、平成15年改正(平成16年1月1日施行)により廃止。
料金制度
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(1)料金体系の改定
現行 改正後 増減 出願料 21,000 ??16,000 審査請求料 84,300
+(2,000×請求項数)168,600
+(4,000×請求項数)特許料
1~ 3年13,000
+(1,100×請求項数)2,600
+( 200×請求項数)特許料
4~ 6年20,300
+(1,600×請求項数)8,100
+( 600×請求項数)特許料
7~ 9年40,600
+(3,200×請求項数)?24,300
+(1,900×請求項数)特許料
10~25年81,200
+(6,400×請求項数)?81,200
+(6,400×請求項数)
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(2)審査請求手数料返還制度の導入
- 審査請求後、審査待ちの期間に出願の取下げ又は放棄をした場合、6月以内に請求すれば審査請求手数料の返還を受けることができるようになる。返還額は納付金額の2分の1(政令で規定)。
4.経過措置
審判制度
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(1)異議申立てと無効審判制度との統合
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①請求日:平成15年12月31日以前
従前の規定にしたがって処理される。
・平成16年1月1日以降でも、異議決定に不服があれば訴え提起が可能。 -
②請求日:平成16年1月1日以降
新無効審判制度
・異議申立て制度はない。
・従前の異議申立て手続でなされた違法な訂正や、経過措置により旧法の規定でなされた訂正で違法なものについては、無効理由となる。
・請求理由の補正や再度の訂正が認められる。
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①請求日:平成15年12月31日以前
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(3)審決取消訴訟係属中の訂正の機会
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①訴え提起:平成15年12月31日以前
従前の規定にしたがって処理される。
・訂正請求はいつでも請求可能。ただし、平成15年12月31日以前の訴え提起について判決が確定した後、平成16年1月1日以降に再度訴え提起をした場合は、同一案件でも期間制限を受ける。 -
②訴え提起:平成16年1月1日以降
訂正審判の請求が訴え提起から90日以内に制限される。
裁判所の職権によって事件が特許庁に差戻される場合がある。
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①訴え提起:平成15年12月31日以前
料金制度
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(1)料金体系の改定
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①出願手数料・審査請求手数料
出願日:平成16年4月1日以降 → 新手数料
出願日:平成16年3月31日以前 → 旧手数料
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②特許料
審査請求日(出願日は無関係):平成16年4月1日以降 → 新特許料
審査請求日(出願日は無関係):平成16年3月31日以前 → 旧特許料
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③分割・変更出願
出願手数料・審査請求手数料は、現実の出願日を基準に上記①で判断
特許料は、当該分割・変更出願の審査請求日を基準に上記②で判断
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①出願手数料・審査請求手数料
- (2)審査請求手数料返還制度の導入
- 平成15年10月1日以降に出願の取下げ・放棄がなされた出願であれば、平成16年4月1日の施行日以降に請求すれば審査請求料の返還を受けることができる。